歯ぎしり・咬みしめ

ブラキシズムって??

「歯ぎしり」「食いしばり」歯の先端を小刻みにカチカチと接触させるなど 
これらの無意識に行う運動がブラキシズムです。 

歯ぎしりは、成人の約80%にあると言われていて、睡眠中など知らないうちにしてしまいます。
自分で歯ぎしりを自覚するというのはとても困難なことで、自覚している人は10%も満たないと言われています。
ほとんどの場合、人に言われて「自分は歯ぎしりをしていたのだ」と認識します。
これは誰もがしえる、一種の癖なのです。

歯ぎしりには、遺伝的な影響が半分ほどあります。 
歯ぎしりにかかる力は、通常起きている時の噛む力と比べると、なんと6倍以上の力が加わっているため、歯ぎしりによって虫歯でも歯周病でも無いのに、歯を失う可能性もあります。

歯ぎしりくらいと軽く考えずに一度チェックにいらして下さい!!!

セルフチェック

寝ている間の歯ぎしりを確認することはできませんが、目が覚めている時にできるセルフチェックがあります。
3つ程チェックがついた方は、ブラキシズムの可能性があります。

□ 歯ぎしりをしていると家族から指摘されたことがある
□ 集中しているとき緊張しているときなど、無意識のうちに噛みしめていることがある
□ 歯科医院で「歯ぎしりや噛みしめをしていませんか?」と言われたことがある
□ 事故・けが以外で歯が割れた・欠けた事がある
□ 歯の先端が、かなり磨り減っている
□ 詰め物が度々取れる
□ 朝起きたときに口の周囲に違和感がある
□ 上あごの中央や下あごの前歯の内側が硬く隆起(出っ張っている)所がある
□ あごの関節に痛みがあったり、カクカク音が鳴る
□ 歯の付け根の部分がくぼんでいる
□ 冷たい水がしみることがある

症状例

 

 

歯ぎしりの原因

ストレス解消法?

歯ぎしりは、ストレスを解消するために行われていると考えられています。
そのため、歯ぎしりの最大の原因はストレスだという説が現在最も有力です。

しかし、残念ながら現在ブラキシズムのメカニズムは、はっきりわかっていません。
発生に関しては、昼間の強い精神的ストレスや肉体疲労が夜間睡眠中のブラキシズムを増悪すると言われています。

子どもの歯ぎしり

また、歯ぎしりは子供にもよく見られますが、乳歯が永久歯に生え変わる時期に関係していることが多いといわれています。

生え立ての歯で、顎の位置を決めるために一時的に発現しているものと考えられており、これは歯の生えかわりや骨の発育に必要なもので、ほとんどの場合自然に治ります。 

歯ぎしりの治療法

歯ぎしりから歯や顎骨を守る

就寝時に「ナイトガード」と呼ばれるものをつけましょう。

咬み合わせの問題はそれぞれ違うので、 ご自身の歯にぴったり合ったカスタムメイドのものを型を取り作製します。

 

手順

診察検査を受けた後歯型をとります。その1~2週間後にマウスピースをお渡しします。

装着

通常は、歯ぎしりが多い時間帯である睡眠時につけます。 
初めは違和感がありますが、ほとんどの方がだんだん慣れてこられます。 
かみしめのある方は、基本的には一日中着けていただきたいのですが、 無理のない範囲で装着していただければ大丈夫です。

症状

症状全てが、歯ぎしり・食いしばりからくるわけではありませんが、無用な癖はなくしておいた方が良いものです。 
この癖は、眠っている時や、何かに夢中になっている時などに起こるので気づきにくいのです。

特に悪い症状が出ない限り放置しても構わないのですが、次のようなサインが出ている場合は問題を起こしますので早めにご相談にいらしてください。

1.グラインディング

「ギリギリ」と歯をこすり合わせる歯ぎしりで、睡眠時はギリギリと水平的にも動かしています。
上下の歯が削れていたり、歯にひびが入っていたりという症状は歯ぎしりのとても典型的な見つけ方です。

特徴

・ エラが張っている
・根の付け根にくぼみがある
・ 摩耗の範囲は切端が直線的
・音は鳴らない

歯のかみ合わせる部分がすり減って、内側の黄色い歯の質がでてきてしまっています。
知覚過敏
歯の外側の歯茎のあたりの歯がかけて、黄色い象牙質が出てきてしまっています。
知覚過敏症の様なしみる症状が出たりします。
知覚過敏
楔上欠損が多く見られます。

 

2.クレンチング

上下の歯を強く噛み合わせる事です。睡眠時はギリギリと水平的にも動かしています。

音が出ないので気づかないことも多いですが、これも歯ぎしりの一種です。
自然に口を閉じた状態のとき、上下の歯がくっついていないですか。 
噛み締めは、仕事の時パソコンなど集中していたり、家事で包丁で食材を切っている時、 趣味ではゲームや編み物など集中している時に出やすいと言われています。

特徴

・ 日中の噛みしめ 

歯ぎしりの症例
頬の内側に歯の痕がついています。
ベロに歯の痕が付いています。
知覚過敏
骨隆起がみられます。

3.タッピング

カチカチッと歯を打ち鳴らす歯ぎしりで、歯ぎしりの中ではまれなタイプです。

歯ぎしりによる影響

1.歯への障害として・・・

歯が割れる

歯科治療で入れたセラミックなどの(被せ物)が歯ぎしりによって割れることがあります。

歯がしみる

歯のすり減ってきた事で神経に近ずく為、つめた物、甘いものがしみたり、歯ブラシの時の刺激で痛みが出現し、知覚過敏症になることがあります。 

2.歯の周りの組織への影響

歯周病が進行しやすくなる可能性があります。 
かみ合わせによる過度な力は、歯肉や歯を支える骨に負担を与え、歯周病を進行させます。

3.顎関節への障害

顎関節症(あごがカクカクする)や、開口障害(口があきずらい)、顎のずれなどの可能性があります。

スポーツマウスガード

マウスガードって?

最大の目的は外傷の防止・軽減です。

マウスガードはお口の中に装着するもので、その形は上あごの歯全体を覆うようになっており、ゴムの様な軟らかい材料で出来ています。 
主にコンタクトスポーツ(選手間に接触があるスポーツ)のプレー中に起きる、歯と口のまわりのケガを予防する目的で作られた防護用具の一種です。

マウスガードの役割

①直接的外力から歯を守る 

②口唇・舌・頬の損傷を防止する 

③衝撃力から顎の関節から保護する 

④顎関節及び歯列を介して脳への衝撃による脳震盪やより深刻な脳へのダメージを予防する 

注意点

※1 マウスガードを作るには、原則虫歯の治療をさせて頂いてからとなります。

なぜなら虫歯の痛みにより、プレーに集中できなかったり、治療途中にマウスガードを作ると適合性が悪くなったり、歯が痛みだすことがある為です。
また、マウスガードを作った後に虫歯の治療を行うと形態が変わる為、新しく作り直さないといけない事がありますので、基本的には治療後に作製させて頂いております。(お急ぎの方などは、ご相談下さい)

※2 プロゴルフにおいての使用時の注意

スポーツマウスガードを使用することで飛距離が伸びたと判断され棄権処分を下されたケースがあります。 
しかしプロの申告時に
着用物:「マウスガード」 
理由:「飛距離が伸びるから」
という申告欄があるわけではない為、これは言わなかったら問題はないですし「歯を守るために使ってる」も問題ないそうです。 
しかし 「飛距離が伸びるから」や 「スイングのバランスが良くなるから」と言うと、インナーウエアやインソールでも棄権となってしまうそうです。

逆にいうと、それだけ影響力があるものなのです。

最近のことでいうとサッカーの澤選手のように、サッカーのヘディングなどでは特にマウスガードは効果的です。 

マウスピースの義務化

完全義務化

ボクシング(日本アマチュアボクシング協会)・キックボクシング(新日本キックボクシング協会) ・アメリカンフットボール(日本社会人アメリカンフットボール協会)

試合で義務化

空手(全日本空手道連盟)

一部義務化

ラグビー・ラクロス・サッカー・バスケットボール・水球・ハンドボール・フィールドホッケー・アイスホッケー・空手・レスリング・柔道・相撲

推奨

野球・ソフトボール・バレーボール・ゴルフ(日本国内ツアーなど一部禁止)・テコンドー・ 剣道・スキー・スケート・重量挙げ・砲丸投げ・円盤投げ・槍投げ・体操・弓道・アーチェリー・ボディービル・アームレスリング・馬術・モトクロス・カーレース・競輪・ 競馬

治療費

当院では、保険を使った治療を行います。 
*当院では最善の治療を行わせて頂く為、お口全体の状態をきちんと把握させて頂いてからの治療をさせて頂いております。その為、初診時は保険診療のレントゲン写真や歯肉の検査を行わせて頂いております。
(保険適応治療のため、負担金額は患者さまの負担率によります。)

注意点

治療が必要な歯はすべて治す必要があります。 
(製作後に治療を行い詰め物などが入った場合、形が合わなくなってしまう事が有る為です)

Q&A

Q、マウスガードの効果は・・?

マウスガードを使用していないとどうなるか・・

スポーツや運動をされていると、怪我をする事が多くあります。 例えば歯にボールがぶつかってしまう事だけでも歯の神経が死んでしまい変色してしまう事も!! また歯を、食いしばる事で顎関節は圧迫され、それにより、体は緊張や不安感を覚えますか。

これが、集中力低下の原因で、運動をする力の低下ともなってしまいます。 マウスガードを使用することで・・ 外力から顎と口のまわりへの衝撃をやわらげ、歯の破折や、顎の骨折、口の中・口の外の軟組織のケガを防止し、また脳震盪(のうしんとう)の予防にもなります。 

なので、スポーツマウスガートを使用する事で、歯を食いしばる事で起こる顎関節への圧迫や、上記に記載した事を予防する事ができます。 又、体をリラックスした状態に保つ事が可能となります。 瞬発力・集中力を高めあなたの潜在的な力を生みだすと言われています。

Q、スポーツで口の中などを怪我する頻度はどれくらいありますか?

歯や口のまわりのケガには、口唇や頬粘膜などの損傷、歯の破折や脱臼、さらに顎骨骨折などがあります。 スポーツ人口や競技数の増加、競技の多様化、また競技レベルの高度化に比例して、 スポーツによる外傷は増加傾向を示しています。 

中でも顎や顔面は常に被覆防護のできない部分があり、外傷の発生頻度は比較的高いと報告されています。 顎顔面外傷の原因は、交通事故による外傷 40%~60%についで、スポーツ外傷20%と多く、 又、平成8年度の学校安全災害共済給付対象数でも傷害発生件数797件のうち、歯の傷害は323件で全体の40%を占めています。

また学童・生徒の21.8%が過去一年間に歯や顎、口の周りに何らかの外傷を受けたという調査もあります。また、これらは特に10~20歳代で増加傾向にあります。

Q、どんなスポーツで怪我がしやすいですか?

普通はラグビーや アメリカンフットボール、ボクシングあるいは格闘技のようなスポーツがイメージとして浮かぶと思います。 

確かにこのような相手と接触(コンタクト)するスポーツでケガをしやすいことは確かなのですが、 実際には野球やバスケットでも口や顔にケガをすることが多いのです。 スポーツ人口からいってもやはり野球でケガをする人が多くなります。
また相手と接触するほかに、ボールやバット、ネットのような器具あるいはグランドやコートでケガをすることもあります。 

最近ではサッカーが盛んですが、サッカーでケガをする人も増えています。 北海道などの、アイスホッケーやスキーが盛んなところでは、 それが原因のケガも増えます。意外に思われるかもしれませんが、水球や卓球で顔や口にケガをする場合もあるのです。

このような場合には、自分の歯が「刃物」になって、頬や舌を傷つけることになるからです。

Q、どんなスポーツでマウスガードを使うのですか? 又、どんな種類がありますか?

  市販のマウスガード
カスタムメイドマウスガード
利点
・安価
・簡単に入手できる
・適合性による高い性能 
・デザインが豊富
欠点

・適合が悪い 
・外れやすい
・違和感・吐き気が強い 
・呼吸・発音がしづらい 
・情報の不足

・カスタムメイドの為、高価 (¥16,500税込)
・来院が必要 3. 完成(納品)までに二週間ほど必要
 
利点
・適合性による高い性能 
・デザインが豊富
欠点
・カスタムメイドの為、高価 (¥16,500税込)
・来院が必要 3. 完成(納品)までに二週間ほど必要

Q、運動能力は向上するのですか?

咬む事と運動

「咬む」ことは、身体を固定することには効果はあるとされていますが、常に「運動能力の向上」に繋がるとはいえず、まだ科学的に十分に証明がないのが現状です。

これは一口に運動といっても「動きの少ないスポーツ、動きの多いスポーツ、持続的な動きのあるスポーツ、瞬発的な動きの多いスポーツ、さらにはそれらの組み合わさったスポーツ」が考えられ、それらを同一に考えることができないからです。 

現在研究が進んでいますので、近い将来その関係がより明らかにされることが期待されます。 ですが・・、スポーツマウスガートを使用する事で、歯を食いしばる事で起こる顎関節への圧迫や、上記に記載した事を予防する事ができます。 

又、体をリラックスした状態に保つ事が可能となり 瞬発力・集中力を高めあなたの潜在的な力を生みだすと言われています。

Q、運動するならマウスガードを・・

マウスガードは試合の時だけでなく、練習の時から使用しましょう。 練習時のけがを防止するのはもちろんのこと、練習でマウスガードに慣れておくと試合でうまく使いこなすことができるためです。

Q、小学生で、まだすべての歯が永久歯に生え替わっていないのですが、
マウスガードは必要なのでしょうか?

お口のケガが増えるのは、筋肉も発達し、プレーのスピードが飛躍的に伸びる中学生以降と言えます。ですからこの時期以降は、ぜひマウスガードをお勧めします。

しかし、小学生の時期にも頻度は低いですが、お口のケガは起こっています。ただこの時期は、次々歯が生え替わりお口も成長しますので、それに合わせて頻繁に、マウスガードを作り換える必要があります。

かかりつけの歯科医とよく相談されて、激しい接触のみられる格闘技系のスポーツ時には出来るだけ使用されることをお勧めします。

Q、マウスガードの正しい使用方法は?

マウスガードを使用時は、次の点に注意して下さい。

(1)マウスガードが外れやすくなったら歯科医に相談して下さい。外れやすくなったマウスガードでは外傷の予防効果が期待できないばかりでなく、お口の中に保持するために咬んでおかねばならずかえって運動しづらくなります。

(2)かみ合わせがしっくりこないあるいは顎がだるい場合は歯科医に相談して下さい。マウスガードを入れた後、かみ合わせがしっくりこない場合や顎がだるい場合は、そのまま使い続けると顎関節が痛くなる場合もありますので、歯科医に相談してかみ合わせを調節してもらって下さい。

Q、マウスガードの保管の仕方は・・?

高温になる場所は避け、清潔に保管してください。マウスガードは比較的柔らかい素材でできているため、色や臭いがつきやすく、熱に弱い性質があります。使用後は水洗いし、ケースなどで清潔に保管して下さい。お湯につけたり高温になる場所に長時間放置すると、変形の原因になりますので気をつけて下さい。論文によっても実証されています。

Dr. Ray Mond Flauders による口腔外傷調査報告(1995)

アメリカンフットボールにおいては、マウスガードが義務付けられており口腔外傷が試合中に起こるケースは、全外傷の 0.07% に過ぎない。

一方、バスケットボールの場合、通常、選手はマウスガードを試合中に装着しない為に、口腔外傷は全外傷の 34% にものぼる。幼児、10代の若者および20歳以上の成人が、オーダーメイドのマウスガードを装着する事により、口腔外傷の発生をごく少数に抑える事ができる。

Dr. Ray Padilla によれば・・・

一本の歯を喪失した場合の総リハビリ費用は、予防目的で作るオーダーメードマウスガードの製作費の20倍にも及ぶという事もあるといわれております。

治療の目標を共有し、患者さまと共に二人三脚で歩んでいく姿勢が重要だと思います。 患者さまに合わせて治療期間、治療費、治療内容をご説明いたします。
そして、いくつかの選択肢の中から患者さまに一番あった治療法が選べるように私たちがお手伝いさせていただきます。

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