歯周病と糖尿病の関係
歯周病も糖尿病も有病者が多く、
国民病と言える生活習慣病です。
糖尿病の患者数は国内で1,100万人と推定されています。(2021年データ)
歯周病とは?
歯周病とは、
歯と歯ぐきの間に繁殖する細菌に感染し、歯の周りに炎症が起こる炎症疾患です。
歯茎の腫れや歯を支える骨などが溶けてしまい、はじめはほぼ自覚症状がないまま進行し、
歯周炎になると歯が抜け落ちたりするばかりでなく、全身に影響が及ぶことがあります。
糖尿病とは?
糖尿病は、血糖値が高くなることで全身の血管を弱めてしまいます。
糖尿病から歯周病に悪影響があり、
また歯周病も糖尿病に
悪影響を及ぼします。そのメカニズムについてお話します。
糖尿病のしくみ
インスリンの働きを悪くし、糖尿病の状態を悪化させてしまう原因の一つはTNF-αといわれるタンパク質です。
TNF-αは、歯周病菌によって作られる内毒素によって生産が促進されてしまいます。
高血糖状態では、白血球のはたらきが低下して、感染症に対する抵抗力が弱くなります。
そのため感染症である歯周病にもかかりやすくなってしまいます。
また、糖尿病ではインスリンの作用(ブドウ糖をエネルギーに変える力)が弱まり、
代わりに筋肉のたんぱく質や脂肪が分解されるようになります。
糖尿病と歯周病の関係
代謝の変化で歯周組織内のコラーゲンの減少や特性に変化が起こり、
歯周組織の弾力性が失われ、破壊された組織の修復力も弱くなります。
さらに、高血糖状態では、腎臓がブドウ糖を吸収しきれなくなるために、
多量の水分とともに尿中に排出しようと働きます。その結果、体内の水分が
減少し、同時に唾液の分泌量も減り、喉や口の渇きという症状が現れます。
唾液は食べ物の消化を助けますが、ほかにも口腔内の浄化作用や組織の修復を行って、
歯周病を防ぐことに寄与しています。糖尿病ではこれらの作用も十分に機能しなくなり、歯周病を進行させます。
歯周病治療は血糖コントロールを改善する
慢性炎症としての歯周炎に対する適切な治療により、糖尿病のコントロール状態の指標となるHbA1ⅽの改善がみられることが明らかになってきました。複数の研究を解析すると歯周治療によりHbA1ⅽが0.65%下がると報告されています。
歯周病セルフチェック
□ 朝起きたら口の中がネバネバする
□ 歯磨きすると出血する
□ グラグラしている歯がある
□ 硬いものが噛みにくい
□ 歯と歯の間に食べ物がはさまる
□ 歯肉が赤くブヨブヨしている
□ 歯茎がさがって歯が長くなった気がする
糖尿病セルフチェック
□ 家族に糖尿病の人がいる
□ 尿の量が増えた
□ 手足がしびれたり体が痒くなることがある
□ よく喉が渇くようになった
□ あまり運動をしない
□ 急に視力が落ちて見えにくくなった
□ しっかり食事をとっているのに 痩せてきた
血糖値を下げるインスリンとは?
毎日食べている食事には、お米やパン、麺類など、糖がたっぷり含まれています。
糖が小腸から吸収されて血管の中に入ることで、血糖値があがります。
血糖値をコントロールするにはインスリンがカギとなります。
膵臓(すいぞう)で作られるインスリンは糖をエネルギーに変換し、
血糖値を下げる唯一のホルモンです。
インスリンがなければ血糖値を下げることができません!
インスリンが足りないとどうなる?
インスリンが足りていないと血液が糖だらけ=高血糖状態になります。
糖が急増すると、血管の内側から活性酸素が大量に発生し、糖が血液で渋滞することにより活性酸素が血管を破壊します。
そして、酸素と栄養素が届かなくなり、セルフチェックにあるような自覚症状が出始めます。
予防のためには
糖尿病、歯周病予防のためには、バランスの良い食生活を心掛けましょう。
ゆっくりよく噛んで食べることで、食べ過ぎを防ぐことができます。
また、歯を失わないということは生活の質を直接低下させないだけでなく、生活習慣病の予防や管理にも繋がります。
歯周病コントロールのためには、歯科医院での予防的なケアや専門的なアドバイスを受けるのが有効です。
かかりつけの歯科医院をつくり、
定期的なチェックとクリーニングを意識しましょう。
正しいブラッシング指導を受けることが、歯周病と糖尿病の管理という観点からだけでなく、将来の快適な生活にもつながります!
しばらく歯科医院に受診していないな・・・という方は、歯科健診を受けることをお勧めいたします。
日付: 2022年5月23日 カテゴリ:ITSデンタルニュース